2009年07月02日
タイベックシルバーは効果なし?
タイベックという白い防水シート (構造材を雨から防ぐもの) をご存じですか。
これです↓

外壁材の下に張る防水シートで水は通さないけれども、湿気は通す素材です。
これは構造材の蒸れを外部に排出するけれども、雨は内部に入れない優れもの。
その為 「透湿防水シート」 と呼ばれています。
このタイベックの出現で、 木造住宅は水分によるダメージから開放されました。
そして、近年このタイベックにアルミの粉を付着させたものが登場し、遮熱効果がある
という事で話題になっています。
それがこれ↓

暑い夏の太陽からの輻射熱を反射して、壁や屋根が暑くなるのを抑える働きをする
と盛んに宣伝をしています。
家全体に張るとこの様になります↓

これで暑い夏ともオサラバと言うことで、価格が2.3倍もするのですが売れているようです。
弊社も例外ではなく、早速張ってみました。
ちょうど2棟同じ位の大きさで方位も同じ新築住宅があったので、
一つは通常のタイベック、もう一方はタイベックシルバーを張りました。
その後、夏を挟んで半年近くの間温度計を設置していただき、温度を測ってみました。
その結果は…。 ほとんど差がない。いやまったくないと言って良い程でした。
それ以来、タイベックシルバーは使用していなかったのですが、最近 「新住協」 の勉強会で
その裏付けが取れましたので、ご報告します。
下の図1は縦軸が「熱貫流率」、大きいほど熱が伝わる (暑いということ) で、横軸が
その内側 (室内側) にある断熱効果の大きさ (断熱材の厚みと同じ) を表しています。
青い線が通常の「タイベック」、赤い線が「タイベックシルバー」を示します。
グラフの左端、すなわち断熱材の厚みがゼロの時、タイベックシルバーは
最大の差を発揮します。(赤い線の上方に青い線がある。この差が温度差。)
しかし、グラフの右へ向かって行くと、二つの線 (青と赤の線) は急速に近づき
1.3付近でほとんど重なります。 これは、内側の断熱材の厚みが増すと、伝わる熱
の量があまり変わらなくなる事を示しています。

弊社の壁の断熱材の標準仕様は R=2.3 なので、グラフの右端の辺りになります。
タイベックシルバーを使う意味はほとんどないと言えます。
普通の住宅メーカーの仕様は R=1.0 付近なので少しは意味があるかも知れませんが、
それなら、断熱材を増やした方が安上がりです。
下の図2は弊社の住宅の壁の断面図です。 断熱材が壁の厚み一杯に充填されており、
外壁材との間の通気層から、構造材の蒸れた空気が外部に排出されます。

以前紹介した窓ガラスの 遮熱Low-E も上記と同じ仕組みで遮熱するわけですが、ガラスの室内側
には勿論、断熱材などないわけです。(光を通すために)
住宅の外装部品で唯一遮熱材の意味がある部分ではないでしょうか。
遮熱シートや遮熱塗料など多くの建材製品がありますが、その宣伝に踊らされることなく、検証に
基づいた建材選びが弊社の使命と思っております。
P.S.
弊社でも現在小屋裏の遮熱材として使用しています。 施工場所は断熱材の上で、通気層の下
になる部分。 通気層の上に野地合板、防水シート、屋根材と続きます。(2015年10月)
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これです↓

外壁材の下に張る防水シートで水は通さないけれども、湿気は通す素材です。
これは構造材の蒸れを外部に排出するけれども、雨は内部に入れない優れもの。
その為 「透湿防水シート」 と呼ばれています。
このタイベックの出現で、 木造住宅は水分によるダメージから開放されました。
そして、近年このタイベックにアルミの粉を付着させたものが登場し、遮熱効果がある
という事で話題になっています。
それがこれ↓

暑い夏の太陽からの輻射熱を反射して、壁や屋根が暑くなるのを抑える働きをする
と盛んに宣伝をしています。
家全体に張るとこの様になります↓

これで暑い夏ともオサラバと言うことで、価格が2.3倍もするのですが売れているようです。
弊社も例外ではなく、早速張ってみました。
ちょうど2棟同じ位の大きさで方位も同じ新築住宅があったので、
一つは通常のタイベック、もう一方はタイベックシルバーを張りました。
その後、夏を挟んで半年近くの間温度計を設置していただき、温度を測ってみました。
その結果は…。 ほとんど差がない。いやまったくないと言って良い程でした。
それ以来、タイベックシルバーは使用していなかったのですが、最近 「新住協」 の勉強会で
その裏付けが取れましたので、ご報告します。
下の図1は縦軸が「熱貫流率」、大きいほど熱が伝わる (暑いということ) で、横軸が
その内側 (室内側) にある断熱効果の大きさ (断熱材の厚みと同じ) を表しています。
青い線が通常の「タイベック」、赤い線が「タイベックシルバー」を示します。
グラフの左端、すなわち断熱材の厚みがゼロの時、タイベックシルバーは
最大の差を発揮します。(赤い線の上方に青い線がある。この差が温度差。)
しかし、グラフの右へ向かって行くと、二つの線 (青と赤の線) は急速に近づき
1.3付近でほとんど重なります。 これは、内側の断熱材の厚みが増すと、伝わる熱
の量があまり変わらなくなる事を示しています。

弊社の壁の断熱材の標準仕様は R=2.3 なので、グラフの右端の辺りになります。
タイベックシルバーを使う意味はほとんどないと言えます。
普通の住宅メーカーの仕様は R=1.0 付近なので少しは意味があるかも知れませんが、
それなら、断熱材を増やした方が安上がりです。
下の図2は弊社の住宅の壁の断面図です。 断熱材が壁の厚み一杯に充填されており、
外壁材との間の通気層から、構造材の蒸れた空気が外部に排出されます。

以前紹介した窓ガラスの 遮熱Low-E も上記と同じ仕組みで遮熱するわけですが、ガラスの室内側
には勿論、断熱材などないわけです。(光を通すために)
住宅の外装部品で唯一遮熱材の意味がある部分ではないでしょうか。
遮熱シートや遮熱塗料など多くの建材製品がありますが、その宣伝に踊らされることなく、検証に
基づいた建材選びが弊社の使命と思っております。

P.S.
弊社でも現在小屋裏の遮熱材として使用しています。 施工場所は断熱材の上で、通気層の下
になる部分。 通気層の上に野地合板、防水シート、屋根材と続きます。(2015年10月)
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Posted by sanki at 11:18│Comments(9)
│家のしくみ
この記事へのコメント
現在、新築検討中でなんか良さそうというだけでタイベックシルバーにしようかと思っていました。これを見てもう少し考えようと思います!
Posted by tetsu at 2010年10月14日 22:35
タイベックシルバー効果ありますよ。施工現場で1枚手借りて表に出てみてください。日差しがあればすぐに解ります。あるいは冬の夜でもすぐに解ります。
Posted by のば at 2016年05月28日 07:49
コメントありがとうございます。
タイベックシルバーに効果がないわけではありません。 ただ、費用対効果として断熱材を厚くするか、より断熱性能の高い断熱材を使った方がコスパが良いのでは、と言っているのです。
通常の白いタイベックでも赤外線の反射率は70%程度あるので、85%のタイベックシルバーにするより、断熱材にそのコストを使った方がお得なのではないかと思うのですが、いかがですか。
タイベックシルバーに効果がないわけではありません。 ただ、費用対効果として断熱材を厚くするか、より断熱性能の高い断熱材を使った方がコスパが良いのでは、と言っているのです。
通常の白いタイベックでも赤外線の反射率は70%程度あるので、85%のタイベックシルバーにするより、断熱材にそのコストを使った方がお得なのではないかと思うのですが、いかがですか。
Posted by SankiHaus at 2016年05月28日 11:31
遮熱材にタイベックシルバー他アルミ蒸着品は沢山ありますが、実験項目が違うのかも?
私の実験ではアルミ蒸着品が有ると、夏の日差しの元でも頭部の暑さが素晴らしく軽減されました。温度にも格差が。(ポリカパネルに貼付して実験)
結果、アルミ蒸着品使うと断熱材に伝わる熱を遮熱する事で日暮れからは壁面内温度がすぐに低下しやすく、夜に壁から暑さをジワジワ感じるのが軽減されるという結果に。
夏の夜にエコで快適な冷房効果を期待するには私はタイベックシルバー他アルミ蒸着品を使う方が良いのではと。
我が家はタイベックシルバー使わずに施工したもので、日暮れ後温度計には現れない屋根からの熱気を感じて寝苦しいのです。夜の11時位にはなくなりますが。
屋根の貼り替え時期には必ず屋根上をアルミ蒸着品で対策することを決めております。
断熱材の効果を長期に継続させるためにもアルミ蒸着品は効果あると思うのだけど。
私の実験ではアルミ蒸着品が有ると、夏の日差しの元でも頭部の暑さが素晴らしく軽減されました。温度にも格差が。(ポリカパネルに貼付して実験)
結果、アルミ蒸着品使うと断熱材に伝わる熱を遮熱する事で日暮れからは壁面内温度がすぐに低下しやすく、夜に壁から暑さをジワジワ感じるのが軽減されるという結果に。
夏の夜にエコで快適な冷房効果を期待するには私はタイベックシルバー他アルミ蒸着品を使う方が良いのではと。
我が家はタイベックシルバー使わずに施工したもので、日暮れ後温度計には現れない屋根からの熱気を感じて寝苦しいのです。夜の11時位にはなくなりますが。
屋根の貼り替え時期には必ず屋根上をアルミ蒸着品で対策することを決めております。
断熱材の効果を長期に継続させるためにもアルミ蒸着品は効果あると思うのだけど。
Posted by ひるま at 2016年10月10日 10:40
実際の壁の中って断熱材だけではなく、柱はもちろん隙間だってありますよね。
十分な厚さに断熱材を入れる空間が、無い場合もあるのではないかと思います。
そういった部分では効果があるように思え、家全体で少しくらいの差は出てきそうに思うんですが、どうなんでしょうね。
十分な厚さに断熱材を入れる空間が、無い場合もあるのではないかと思います。
そういった部分では効果があるように思え、家全体で少しくらいの差は出てきそうに思うんですが、どうなんでしょうね。
Posted by たまねぎ at 2017年01月18日 20:58
タイベックシルバーが狙っているのは赤外線を反射するという機能で、断熱ではありません。災害用の銀色フォイルのブランケットと同じ効果です。それ自体に断熱性はありませんが、入ってこようとする赤外線を反射するので、特に夏は効果が期待できますよ。
Posted by ペイサン at 2021年10月15日 19:38
ペイサン様 コメントありがとうございます。
そうですね。 確かにタイベックシルバーはアルミが蒸着されていますので、普通の白色のタイベックより赤外線を反射します。
しかし、ハウスラップとして使う場合の外壁下地に装着する意味は、外部からの(特に日射による)赤外線を反射して家が暑くなるのを抑える為だと思います。
その場合、外壁の内側に断熱材を充填する事になりますが、断熱材の厚みや性能を上げた方が結果としてタイベックシルバーを張るよりも安価になる事が分かっています。
詳しくは、「さとるパパの住宅論」さんのHPに記載がありますので、ご参照ください。(https://www.2x6satoru.com/article/heat-barrier.html)
そうですね。 確かにタイベックシルバーはアルミが蒸着されていますので、普通の白色のタイベックより赤外線を反射します。
しかし、ハウスラップとして使う場合の外壁下地に装着する意味は、外部からの(特に日射による)赤外線を反射して家が暑くなるのを抑える為だと思います。
その場合、外壁の内側に断熱材を充填する事になりますが、断熱材の厚みや性能を上げた方が結果としてタイベックシルバーを張るよりも安価になる事が分かっています。
詳しくは、「さとるパパの住宅論」さんのHPに記載がありますので、ご参照ください。(https://www.2x6satoru.com/article/heat-barrier.html)
Posted by sanki
at 2021年10月16日 09:04

横やり失礼します。
反論(?)コメント多数ありますが、大事なのはコスパなんですよね。
その観点で遮熱シートにするぐらいなら断熱材の厚みか性能を上げたほうがはるかに良い。
>>のば様
直射日光の下で頭上にアルミシートを広げれば涼しくなるのは当然ですが、住宅ではさらにその上に屋根があるので同じ状況ではありません。冬は、、、状況がわかりませんが、放射冷却を防ぐのであればベニヤでも一緒ですね。
>>ひるま様
天井付近が熱いのは断熱材の不足とエアコンの設置位置を見直すのも手です。屋根面はグラスウール換算で200mm程度あったほうが良いですが、Ua値だけを見ると100mmでもOKになってしまうので注意です。
また遮熱材の問題点として、汚れやほこりによって容易に性能が下がってしまう、効果を事前に計算できない(実務レベルで使える公式がない)という問題があります。JAXAやNASAなら計算できるんでしょうね。
反論(?)コメント多数ありますが、大事なのはコスパなんですよね。
その観点で遮熱シートにするぐらいなら断熱材の厚みか性能を上げたほうがはるかに良い。
>>のば様
直射日光の下で頭上にアルミシートを広げれば涼しくなるのは当然ですが、住宅ではさらにその上に屋根があるので同じ状況ではありません。冬は、、、状況がわかりませんが、放射冷却を防ぐのであればベニヤでも一緒ですね。
>>ひるま様
天井付近が熱いのは断熱材の不足とエアコンの設置位置を見直すのも手です。屋根面はグラスウール換算で200mm程度あったほうが良いですが、Ua値だけを見ると100mmでもOKになってしまうので注意です。
また遮熱材の問題点として、汚れやほこりによって容易に性能が下がってしまう、効果を事前に計算できない(実務レベルで使える公式がない)という問題があります。JAXAやNASAなら計算できるんでしょうね。
Posted by わた at 2023年03月14日 11:47
上記コメント訂正します。
屋根面断熱材200mm → 300mm
屋根面断熱材200mm → 300mm
Posted by わた at 2023年03月14日 14:57